2022年4月4日 夜→夜明け→朝

図書館へ行くぞと思い立ち、雨が降るなか図書館へ向かった。今日は月曜日。市内の図書館はどこも閉館だった。雨が降っているから長靴を履いて出かけるつもりが、ほとんど意識しないうちに履き慣れたスニーカーを履いて外に出ていた。

普段から図書館へ行きたいと思っているがあまり行っていない。家から近い図書館はどこも17時頃に閉館する。それなのに行きたいと思い立つのはたいてい16時に近い頃だったり、17時を過ぎていたりすることが多い。それに自室の本棚に未読の本が3桁あることを考えると自室の本を自室で読んでいればいいじゃないかと思えてくる。そう思うだけで自室の本も滅多なことがなければ読まない。読みたさだけがただ満たされずにそこにある。

 

北條民雄 いのちの初夜

図書館近くの休憩所で、読んでいる途中だったこれを読み干した。(以下、ややネタバレを含みます)癩病患者の入院初日、病院にたどり着くまでにも病院に着いてからも何度も死ぬことを考えるが死にきれないまま夜を過ごす物語。同病患者同士の対話が夜の暗いなか行われていた。読後、夜を過ごすこと、人間として生きること、人間として死んだ後の生き方(不治の病人としての生き方)について書かれていたことを反芻した。

図書館へ向かう道すがらBUMP OF CHICKENユグドラシルを聴いていたが一旦再生を停止し(M11 fire sign)これを読み始めた。読んでいる間もヘッドホンは付けたままだったため、読み終わってすぐ先程の続きを再生した(M12 太陽、M13 ロストマン、M14 midgard)。夜が朝になり、物語として結末を迎えるような3曲が続いて、この作品を読んだ後に再生してよかったと思った。太陽は夜、ロストマンは夜明けの印象がある。特にロストマンはMVに色が付くシーン(最後の「破り損なった〜」)以降に夜明けのイメージを重ねている。物語の結末への印象と太陽の「出れたら最後 もう戻れやしない」が重なった。ロストマンの「強く手を振って あの日の背中に サヨナラを告げる現在地 動き出すコンパス さあ行こうか ロストマン」も重ねられる。いのちの初夜はどう生きたらいいのか、死ぬことも含めて迷っている大人の男が生きていこうと思うまでの物語だったしな。ロストマンに出てくる「君」は、病人になる前の自分だと考えられるんじゃないだろうか。正しさを祈りながらこれからも生き続けてほしいと思った。どちらの曲もいのちの初夜の主題歌ということにしたいくらいしっくりきた。太陽とロストマンが描く方向に近しいものがあるとも言えるかもしれない。

 

『漫画讀本』傑作選 劇画よ、さらば! 帰ってきた'60年代の爆笑 文春文庫ビジュアル版 1989年
「漫画読本」傑作選 / 文芸春秋【編】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

これも少しずつ読んでいる。日本だけでなく海外の作品も含めいろいろな漫画やエッセイなどがまとめられた本。これに収録されている『マンモスと石と人間』(しとうきねお)を読んだ後の感覚が、「星の鳥」(orbital periodの絵本)を読んだときの感覚に近いような気がしていたせいか、いのちの初夜ユグドラシルの流れから思い出した。

マンモスと石と人間は、たくさんの人間が犠牲になりながら、遂にマンモスに勝ったときに使われた巨大な石の歴史と、既にその歴史が忘れられ、ただ石がある時代を描いた短編。歴史は忘れられつつも人が生まれては死に、いのちが繰り返されているあたりに藤原基央的な物語の語り方を感じた。尤も、この漫画のほうが何十年も昔ではあるけれど。物語のなかに必要以上に藤原基央を探してしまっているのかもしれない。

 

J-WAVEで2014〜2016年あたりにやっていたTHE HANGOUTの録画をちょこちょこ見ている。川田十夢のラジオはINNOVATION WORLDもときどきしか聞けていないけどもっと聞いたらもっと面白いんだろうな。録画が残っているのはとてもありがたい。

J-WAVEだと、ZOO ZOO ZOOを聞き返したいけど聞き返す手段がない。録音していたラジオも壊れちゃった。